ピール伯爵(英語: Earl Peel)は、連合王国貴族の伯爵位。第2代ピール子爵ウィリアム・ピールが1929年に叙されたのに始まる。

歴史

巨大な紡績工場の経営者で下院議員でもあったロバート・ピール(1750–1830)は、1800年11月29日にグレートブリテン準男爵位(ドレイトン・マナーの)準男爵(Baronet "of Drayton Manor")に叙せられた

その息子の2代準男爵ロバート・ピール(1788–1850)はトーリー党(保守党)の下院議員として政界入りし、閣僚職を歴任した後、1834年から1835年と1841年から1846年にかけて保守党政権の首相を務めた。ピール銀行条例制定や穀物法廃止などの事績がある

2代準男爵の死後、その長男ロバート・ピール(1822–1895)が3代準男爵を継承した。彼はピール派・自由党の庶民院議員を務め、1861年から1865年にかけて第3代パーマストン子爵ヘンリー・ジョン・テンプル内閣のアイルランド担当大臣を務めた。

一方、2代準男爵の五男アーサー・ウェルズリー・ピール(1829–1912)も自由党の下院議員となり、1884年から1895年まで庶民院議長を務めた後、1895年5月9日に連合王国貴族爵位ベッドフォード州におけるサンディーのピール子爵(Viscount Peel, of Sandy in the County of Bedford)に叙せられ、貴族院議員に転じた。

その息子である2代ピール子爵ウィリアム・ロバート・ウェルズリー・ピール(1867–1937)は、襲爵前に保守党の庶民院議員を務め、襲爵して貴族院議員に転じた後、保守党政権(もしくは保守党参加政権)においてインド担当大臣(在職1922年-1924年、1928年-1929年)をはじめ閣僚職を歴任し、1929年7月10日に連合王国貴族爵位ピール伯爵(Earl Peel)、およびハンプシャー州におけるクランフィールドのクランフィールド子爵(Viscount Clanfield of Clanfield in the County of Hampshire)に叙せられた。

一方準男爵位の方はこれと別系統で継承され続けていたが、6代準男爵ロバート・ピール(1920–1942)が第二次世界大戦中の1942年4月5日に英領スリランカ・コロンボにおける日本軍との戦闘で戦死した。彼には子供がなかったため、2代準男爵に遡っての分流である2代ピール伯爵アーサー・ウィリアム・アシュトン・ピール(1901–1969)が7代準男爵も継承することになった

その息子で現在の当主である3代ピール伯ウィリアム・ジェイムズ・ロバート・ピール(1947-)は、1999年に世襲貴族の議席が92議席に限定された後も世襲貴族枠の貴族院議員に選ばれている。また2006年から宮内長官を務めている。

紋章に刻まれるモットーは「産業(Industria)」。

現当主の保有爵位/準男爵位

現当主ウィリアム・ジェイムズ・ロバート・ピールは以下の爵位・準男爵位を保持している。

  • 第3代ピール伯爵 (3rd Earl Peel)
    (1929年7月10日の勅許状による連合王国貴族爵位)
  • ベッドフォード州におけるサンディーの第4代ピール子爵 (4th Viscount Peel, of Sandy in the County of Bedford)
    (1895年5月9日の勅許状による連合王国貴族爵位)
  • ハンプシャー州におけるクランフィールドの第3代クランフィールド子爵 (3rd Viscount Clanfield, of Clanfield in the County of Hampshire)
    (1929年7月10日の勅許状による連合王国貴族爵位。法定推定相続人の儀礼称号)
  • (ドレイトン・マナーの)第8代準男爵 (8th Baronet "of Drayton Manor")
    (1800年11月29日の勅許状によるグレートブリテン準男爵位)

歴代当主

(ドレイトン・マナーの)準男爵(1800年)

  • 初代準男爵サー・ロバート・ピール (Robert Peel, 1750–1830)
  • 2代準男爵サー・ロバート・ピール (Robert Peel, 1788–1850) 先代の長男。英国首相
  • 3代準男爵サー・ロバート・ピール (Robert Peel, 1822–1895) 先代の長男
  • 4代準男爵サー・ロバート・ピール (Robert Peel, 1867–1925) 先代の長男
  • 5代準男爵サー・ロバート・ピール (Robert Peel, 1898–1934) 先代の長男
  • 6代準男爵サー・ロバート・ピール (Robert Peel, 1920–1942) 先代の長男
  • 7代準男爵アーサー・ウィリアム・アシュトン・ピール (Arthur William Ashton Peel, 1901–1969) 2代ピール伯

ピール子爵(1895年)

  • 初代ピール子爵アーサー・ウェルズリー・ピール (Arthur Wellesley Peel, 1829–1912) 2代準男爵の五男
  • 2代ピール子爵ウィリアム・ロバート・ウェルズリー・ピール (William Robert Wellesley Peel, 1867–1937) 先代の長男。1929年にピール伯爵

ピール伯爵(1929年)

  • 初代ピール伯爵ウィリアム・ロバート・ウェルズリー・ピール (William Robert Wellesley Peel, 1867–1937)
  • 2代ピール伯爵アーサー・ウィリアム・アシュトン・ピール (Arthur William Ashton Peel, 1901–1969) 先代の長男。1942年に7代準男爵位を継承
  • 3代ピール伯爵ウィリアム・ジェイムズ・ロバート・ピール (William James Robert Peel, 1947-) 先代の長男
    • 法定推定相続人は現当主の長男クランフィールド子爵(儀礼称号)アシュトン・ロバート・ジェラード・ピール(Ashton Robert Gerard Peel, 1976-)
      • その法定推定相続人はその息子のニコラス・ロバート・ウィリアム・ピール(Nicholas Robert William Peel, 2015-)

家系図

脚注

出典

参考文献

  • 依光良馨『イギリス金本位制成立史』東洋経済新報社、1967年。ISBN 978-4492670033。 
  • 村岡健次、木畑洋一『イギリス史〈3〉近現代』山川出版社〈世界歴史大系〉、1991年。ISBN 978-4634460300。 
  • 『世界伝記大事典〈世界編 8〉ハルーフユ』ほるぷ出版、1981年。ASIN B000J7VF5S。 

パール伯爵 (Pearlcount) / Twitter

パール伯爵 (Pearlcount) / Twitter

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