ザ・トレメローズ(The Tremeloes)は、イギリスのバンド。1960年代初頭から1970年代までブリティッシュ・インヴェイジョンのバンドとして活躍した。デッカ・レコード時代は、ブライアン・プール&ザ・トレメローズと名乗っていた。アメリカのビーチ・ボーイズやフォー・シーズンズの様なコーラス・ワークで有名である。
来歴
デビュー前
イギリスエセックス州ダゲナムにて、ブライアン・プール(ボーカル)を中心に1958年結成。結成当初はトレミロズ(Tremillos)と名乗っていたが、新聞記者が間違えてトレメローズ(Tremeloes)と紹介し、そのまま後者の方をバンド名とした。主にバディ・ホリーの曲を演奏していた。
1962年1月1日、ビートルズとデッカ・レコードのオーディションを受けた。結果は、演奏力が優れていたのと、比較的ロンドンに近く連絡を取りやすかったトレメローズが選ばれた(しかし、後にビートルズが大成功を収めたため、トレメローズを獲ったディレクターのディック・ロウはその後ジョージ・ハリスンの助言でローリング・ストーンズを獲得するまで社内での立場を悪くすることとなる)。同年、デビューシングルを出すもヒットせず、約1年ヒットは出なかった。1963年、ビートルズもカバーしていた「ツイスト・アンド・シャウト」がイギリスのチャートで最高位4位を記録、デイヴ・クラーク・ファイヴと競作になった次のシングル『ドゥー・ユー・ラヴ・ミー』が1位を記録した。この他にも、「サムワン・サムワン」、「アイ・ウォント・キャンディ」等のヒットを連発した。しかし、1965年を境にヒットが出せなくなり、ブライアン・プールがソロ・シンガーとして離脱、トレメローズもデッカ・レコードを離れ、CBSレコードに移籍(ブライアン・プールもヒットを出せず、ビジネス界に転向)。
第二の黄金期
1966年、アラン・ハワードが辞め、後にルベッツのメンバーになるミック・クラークが加入し、アラン・ブレイクリー、リック・ウェストウッド、デイヴ・マンデンの4人で再出発。サイモン&ガーファンクルの「ブレスド」でデビュー。次のシングル『グッド・デイ・サンシャイン』のB面でミック・クラークが脱退、レン・“チップ”・ホークスが加入し、顔ぶれが一定する。
1967年、キャット・スティーヴンスの「君と踊ろう」がイギリスで4位を記録、そして次のシングル、フォー・シーズンズの「サイレンス・イズ・ゴールデン」が1位を記録。アメリカでも11位を記録し、デッカ・レコード時代よりも成功を収める。
1968年に発売されたボブ・ディラン作の「アイ・シャル・ビー・リリースト」にトレメローズは触発され、これ以降はブレイクリーとホークスが作曲コンビを作り、自作曲を多数作る。
他にも、「福と禍 (Even The Bad Times Are Good)」「君だけの世界(Be Mine)」「虹の立つ丘 (Suddenly You Love Me)」「マイ・リトル・レディ (My Little Lady)」「ぼくはナンバーワン (Call Me Number One)」といったヒットを1971年頃まで連発する。
ヒット後
1971年に出した「ライト・ウィール・レフト・ハンマー・シャム」を境に本国イギリスでヒットが出せなくなった。ドイツ等ではヒットを出したが、これを皮切りに、メンバーの入れ替わりが顕著になる。まずウェストウッドが抜け、ボブ・ベンハムが加入する。続いてブレイクリー、ホークスといった主要メンバーが抜け、アーロン・ウーリーが加入、ウェストウッドが戻って来る。メンバー入れ替えが激しい中でも、マンデンは残った。1983年、10年ぶりにブレイクリー、ウェストウッド、マンデン、ホークスの4人が戻り、F.R.デイヴィッドの「ワーズ」で小ヒットを出す。
1980年代後半、ホークスの息子チェズニー・ホークスの歌手デビューに伴い、ホークスはプロデューサーに転向のため脱退。デイヴ・フライヤー、ジョー・ギリンガムが加入、活動を続ける。
1996年、ブレイクリーが癌のため54歳で他界。ブレイクリー亡き後も、4人体制で活動を続ける。プールも1980年代に音楽活動を再開し、時折トレメローズと一緒にツアーもする。ホークスも歌手活動を再開し、プール同様、トレメローズと時折行動を共にする。2005年、フライヤーが脱退、ジェフ・ブラウンが加入。2012年後半、ウェストウッドが引退。新メンバーに、エディ・ジョーンズが加入。
2020年10月15日、デイヴ・マンデンが76歳で死去。
メンバー
ディスコグラフィ
シングル
アルバム
ブライアン・プール&ザ・トレメローズ名義
- LP
-
- Big Hits Of '62(1963年5月)
- Twist And Shout(1964年4月)
- Brian Poole Is Here!(1965年4月)
- It's About Time(1965年4月)
- EP
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- Swinging on a Star(1964年1月)
- Time Is on My Side(1965年3月)
ザ・トレメローズ名義
- Here Come The Tremeloes(1967年5月)
- Even The Bad Times Are Good / Silence Is Golden(1967年10月)
- Alan, Dave, Rick And Chip(1967年11月)
- Suddenly You Love Me(1968年3月)
- World Explosion!(1968年5月)
- Live In Cabaret(1969年8月)
- May Morning(1970年2月)
- Master(1970年11月)
- Shiner(1974年11月)
- Don't Let The Music Die(1975年7月)
脚注
注釈
出典
参考文献
- サイレンス・イズ・ゴールデン / トレメローズ・ベスト・ヒッツ・コレクション TECP-25598 より
- The Tremeloes 102 tracks 4CD BOXED! BOX 1011•2 より
関連項目
- ブリティッシュ・インヴェイジョン
- 第1次ブリティッシュ・インヴェイジョン・アーティストの一覧



